連れてくる輩は毎回違ったが、いつも彼女の態度はあまり変わらなかった。
行きたいところがある、と言って連れてきているようだった。
男の本能としてはそんなこといわれたらホイホイ連れていくよな。
けれどえらく酒が強い彼女に大概の男はかなわなかった。
潰されてタクシーを呼んで、放り込むのは大概、俺の仕事。
流石に爺さんにはさせられない。
住所を渡され、お金を渡され、タクシーを見送ると俺は尋ねた。
「なあ、お前はなんでこの店にくんの?」
彼女はタクシーを目で追うと振り返らずに
「店に包まれる雰囲気が好きなの」
といった。
同じことを感じる彼女に俺はどこか心が温まるような気がした。
にほんブログ村
- 関連記事
-
- 茜色の記憶 6 (2017/05/07)
- 茜色の記憶 5 (2017/05/06)
- 茜色の記憶 4 (2017/05/05)
- 茜色の記憶 3 (2017/05/04)
- 茜色の記憶 2 (2017/05/03)
スポンサーサイト
Comment