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茜色の記憶 4

彼女はそれからも何度かBARに来た。

連れてくる輩は毎回違ったが、いつも彼女の態度はあまり変わらなかった。
行きたいところがある、と言って連れてきているようだった。
男の本能としてはそんなこといわれたらホイホイ連れていくよな。

けれどえらく酒が強い彼女に大概の男はかなわなかった。
潰されてタクシーを呼んで、放り込むのは大概、俺の仕事。
流石に爺さんにはさせられない。

住所を渡され、お金を渡され、タクシーを見送ると俺は尋ねた。

「なあ、お前はなんでこの店にくんの?」

彼女はタクシーを目で追うと振り返らずに
「店に包まれる雰囲気が好きなの」
といった。

同じことを感じる彼女に俺はどこか心が温まるような気がした。


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