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Master 14

汗を拭いて、Tシャツを着替えて出てきた僕を

Masterさんはちょっとまぶしそうに眺めた。

「どこ行きましょう?嫌いなものとかありますか?」

僕がそう尋ねると「とりあえずビール飲みたいね」とMasterさんは言った。

「Masterさん」と僕はいいかけると「チャンミンで」と短く言われた。

まあ、どっちも同一人物なんだけれど、Masterさんと呼ばれるのは嫌なのかな?

「Masterって偉そうじゃん、リアルに会う人にはそう呼ばれるの恥ずかしいんだよ。」

チャンミンさんは笑いながら言った。

「さ、どこ行く?ここら辺俺よく知らないけど、おすすめの店ってある?」

うーん、とりあえずおいしいカムジャタンを食べさせる店なら知ってるけど。

「ユノさんのステージ見てたらエロくて腹減った。さ、行こう」

肩をぐっと抱かれて、その距離感にどきりとする。

入った店は混雑していて、店のおばちゃんが「ごめんね、今日は座敷でいいかい」と

狭い座敷に二人、押し込まれた。

えーっと、告白するようなムードのある店でもないなぁ。

Master、いやチャンミンはメニューを見ながら「あ、これうまそう。あ、これも食いたい」

と片っ端から頼んでいた。

僕がびっくりしたように見ていると「あー、すみません。俺、結構食うんだよ。でも、

ユノさんもステージ終わったんだからがっつり食うでしょ?」と言って結構な量を頼んでいた。

うん、まあ、食うんだけど。

お水をもらって、注文して、あらためて向き合う。

「今日は見に来てくれてありがとうございます」頭をさげるとチャンミンはちょっとびっくりしたように

「俺が見に行きたい、と思ったからいったんだけど、一つ謝らないといけないな、と思ってて。」

というので

なんでだろう?と思っていたらチャンミンは頭をかきながら

「その....前回見に行った時に俺がMasterだ、って言えなくて。」といった。

「ほんとですよ、意地悪だなぁ」そういうとチャンミンは顔を赤くして

「だってあんたがそんなに必死で探してるなんて、俺はそんなタマじゃないのに。

恥ずかしかったんですよ。」と言った。

「そんなことないし、僕、いつもMasterさんのtweetに元気貰ってるし、かっこいいし、すきだし」

僕が畳みかけるように言うと益々Masterさん、いやチャンミンの耳は真っ赤になりうつむいて

しまった。

「踊ってるところめっちゃかっこいいアンタに言われると照れるんだよ///」

でも、そうやって真っ赤になってるチャンミンさんはとても....可愛い。

いうと怒られそうだから言わないけど。

話を変えよう。

「僕、チャンミンさんの声、すごく好きです。前に歌、聞かせてくれたでしょ。

どっかで歌ってるんですか?ならば聞きに行きたい」

そういうとチャンミンはビールをごくごくとのどを鳴らして飲み干し

「お代わりください」と外に向かって声をかけた。

「あー、まあ歌ってるけど、俺はユノさんみたいにかっこよくないから」

僕がぽかんとしたかおしてるのをじろりとにらむと

「男にとってかわいい、は誉め言葉じゃないからな」といった。

ああ、この人かわいい、にコンプレックスあるんだ。でもどうして僕がかわいい、って

いったときに盛大に照れたんだろう?

「まあ、本当の自分ってのは俺はどっちかっていうとMasterはあこがれのスタイルで。

現実はぱっとしない恥ずかしい面したやつで、女子供にもかわいいっていわれるような

自分では納得のいかないやつなんだけどな。」

もぐもぐとタッカンマリを口に運びながらチャンミンは続けた。

「だからね。アンタのダンスみてしびれたんだよ。かっこよくてエロくって。

男の理想っていうか。惚れたんだよね。こんなダンスできるなんてすげーって思った。

だから何回も見に来た。

アンタがかわいいもの好きで、スィーツも好きで。そんなことを知ってるからか

余計にギャップにやられたんだろうな。」

え....ちょっとまって。なんだ、この流れ......。

「もっと知りたいと思ってさ。だから、友達になってほしいと思って」

あ.....

確かにうれしい。興味を持ってもらえたのは。そしてもっと知りたいと思ってもらえたことは。

けど、なんだろう。目の前のベビーフェイスのチャンミンさんは確かにかわいいんだけど

Masterなんだよね。そして僕はMasterさんに告白をしようと勢い込んでたわけで。

「もちろんです。よろこんで」俺の口から出た言葉は頭までとどかなかった。

まあ、そういうのが、それが普通の人の対応だよね。

僕はチャンミンさんと連絡先を交換した。

なんだかその気持ちがしゅーっと音をたててへこんでいった気がした。

っていうか。告白なんかする前でよかった。とんだ勘違いするところだった。

僕はチャンミンと友達になった。

「俺の方が多分敬語使わなきゃいけない気がする。」そういってチャンミンは笑っていた。

僕はタッカルビを口に運びながら

「僕は22だよ。でも、敬語の方がうまく話せる気がして普段からこの口調です。

多分、敬語で言葉長くしてる間にきっといろいろと

考えるんでしょうね」というと、チャンミンはしばし考えて

「なら俺には敬語なしにしてください」って言った。

「直球でいろいろ話したいんで」

え。。。。無茶いうなぁ、この人。でもそれがMasterさんなのかな。

チャンミンの顔にまたMasterさんのアイコンが重なって見えた。

「ちなみに俺ハタチなので2つ下ですね」

チャンミン....そんなにビールが好きなのにまだハタチなんだ.....

ひとしきりしゃべって、楽しい時間を過ごしてチャンミンは手を振って帰っていった。

うん、これはこれでよしとしなくちゃね。

少なくとも、ブロックされることはなさそうだし。

僕が気が付いてしまった気持ちはもうすこし蓋をしておこう。

家にかえって僕はしろをだっこしてベッドで考え事をしていた。

本当の自分、かぁ。

僕はなにが本当の自分なのかはよくわからない。

けど、ダンスは自分を偽ってるわけでもないから、どっちも本当なんだけどな。

あーー、拗らせてんな。
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