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Master 9

ライブの当日。朝から僕はテンションが上がっていた。

今日は絶対に逢いたい。Masterさんは来てくれる。

願ってれば叶うんだ。

そう思っていたらボア先輩に

「あら、ユノヤ、なんか男らしいね。どうしたの?」と言われた。

僕、男だけど、ずっと、と思いながらも笑っていたら

「ダンスしてないときもそのくらいシャキッとしてるときっと女の子と

長続きするのよ、きっと」といって背中をばしっとたたかれた。

いや、ちがう。これはきっと「好きな人にはかっこいい所見せたい」って気持ちだ。

よく考えたら、Masterさんには十分僕がヘタレなところを見せてるじゃないか。

今更普段かっこよく振舞ったところでどうする。僕がもふもふのしろ、ってのをMasterさんは

知ってるわけで。

かえってそれは嘘つくようなもんじゃん。

僕はステージだけの王でいいんだ。

なんとなくそう思った。

「かわいいもかっこいいも大事。どちらも本当」

僕はしろにそう言わせて携帯の電源を落とした。

ステージの袖から客席をみたら、かなり人が埋まっている。

Masterさん、いないかな。

きょろきょろしてたけど暗くてわからない。

ステージに出ないとわからないな。

ボア先輩と二人でステージに飛び出した。

『誰にも気付かれずあなたを誘惑するわ

互いにもっと深く揺れていく

君を求めるほどに乾いていくしかないのさ』

歌詞にあわせて体を寄せ合い、顔をぎりぎりまで寄せる。

客席からは黄色い声が上がる。

キスシーンを模した振り付けだけれど、その瞬間に客席に目をやる。

官能的に、体を揺らし、客席からはため息が漏れた。

次の瞬間、正面を向いて観客を挑発するような振り付け。

伸ばした指先の先にMasterさんを想う。

俺のところに来いよ、俺は待ってる。

ステージの上でだけ僕は「俺」になる。

心の中で思うことがそのまま、指先から、足先から振りとなって観客に伝わるから。

大喝采のうちにステージを終えて、ラストだったからそのままフィナーレ。

幕が下りてから急いで僕は衣装を脱ぎ、Tシャツに着替えて客席に急いだ。

人の波をかき分けてMasterさんをさがす。

どんな顔してるかもわからないのに。

でも絶対にいるはず。そう思って探した。

けど、みつけられず、僕はがっかりして楽屋に戻った。

ボア先輩が僕をみつけて走ってきた。

「ユノヤ、あんたに届け物だって」

ポンとわたされたのはバラの花束。

「すっげーかわいい男の子だったわよ。あ、でもユノヤと同じくらいの背の高さ。

本人来るまでまってて、っていったんだけど、行っちゃったわ」

僕は花束をつかむと駆け出した。

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