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Last Humanoids56

腕の部分に張り付けたICチップを扉の入り口でかざし、僕は研究所に入った。

このICチップが僕を管理し、データを集積し、逆にアップロードを行われるもとになってる。

これが偽物だとはだれも思わない。うまくできている。

その代わり、ダミーデータを送信するように作ってあるから、僕らは日中に研究したものを

入力しなくちゃいけない。それだけがちょっと面倒だけれど、それも端末に日々蓄積してあるから

抜かりはない。

「ユノ、今日の分、送らないと」そう声をかけて、僕らは端末に向かう。

僕らは僕らの経験を少しずつデータとして送り、データ集約の中で少しずつ彼らの行動を変えていこうと

地道な作業を繰り返してきた。

その中には善悪の判断や、倫理観を伴うものも併せて導入することにしていた。

「それはしてはいけない」という、いっけんシンプルな言葉は、この倫理観がないと回路が動かない。

ひとつ二つであれば本体をぶっ壊せば済む話。

けれど、これだけ大きくなってしまった現在、歴史を覆すことはきっともう不可能で。

自分で作っておいて自分勝手だけれど、僕らは彼らに「それはしてはいけない」という

倫理観を植え付けることで、彼らの中に巣食う自分勝手なロジックを壊そうとしていた。

人間は、反省できる。くいあらためて変わることができる。けれど彼らはそうじゃない。

Try and Errorは反省を生むわけじゃない。データの精度をあげるためだけに使われる。

そこに「それはしてはいけない」というアルゴリズムを組み込むことは難しい。

本日の作業の仕上げをしようとしたとき、ドアが開いてキュヒョンが飛び込んできた。

「チャンミン、ユノヒョン、やばい。ばれた。」

ソフトのアップデートは気を付けていたし、引っかからないように止めていたんだけど、どうやら

気を抜いた瞬間にアップデートがかかってしまったのかな。

そろそろ、直接対決しないとだめなんだろうな。

今日の分までがうまく送信できるといいのだけれど。

そう、願いながら僕はボタンを押した。


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