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Tango Noir37

「誰だ」ユノの声が冷たい氷のようだ。いままで襲ってきたことのある輩はだいたいゴロツキのようなもんで、ユノが一人でも十分やっつけられるようなそんな奴らばかりだった。けれど、こいつらはちがう。どうやら、王族関係?たった3人だけれど、ユノの尋常じゃない緊張がつたわってくる。こいつらと戦わせたらだめだ。「シム・チャンミン王子だな。王宮までお越し願いたい。」「人にものを訪ねるときには、まずご自分のお名前を名...

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Tango Noir36

「月が、綺麗ですね」ユノと一緒に歩きながら僕は言った。「そういえばよく、月明かりの下で練習をしているよね。」ちょっと前に見た月の下でユノが踊るように剣を振るっていたことを思い出した。「ああ、あれは」ふっと笑った顔がとても穏やかだ。月に抱かれているような、そんな感じだったとユノにいいかけてやめた。「俺の心をなだめてくれるんでな、月は」幼いころ、よく月を見上げて寂しさに耐えた、と言っていた。「月は俺に...

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Tango Noir35

しっかし....ほんとおかしいな。二人と別れたヒチョルはひとりごちた。こんなに明るい月なのに、物陰にはちらほらと鬼神がいる。まあ、あの二人には近づかないし、護符をわたしてあるし、大丈夫だとおもうけれど。ここのところ王世子(王位継承第一位)の容体がすこぶる悪い。何かが起きてる。世界をひっくり返すような何かが。さすがに自分にも想像がつかない。けれどこのカンジはものすごく手に余るかんじだ。そんな時にみんなを...

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Tango Noir34

「あ、いたいた。こんなところにいたのか」真っ赤になってうつむいていた僕がその声で顔をあげるとふわりと花のように微笑むヒチョルが居た。ユノは「おー、もう終わったのか?おつかれさん」そういうといつもの顔に戻っていた。「宮廷にしばらく行ってくるよ。この時期にここを離れるのは嫌なんだけど、呼び出されたから仕方ない」「馬でいきゃほんの2,3日だろ」そういうとヒチョルは肩をすくめて「この俺がユノみたいに馬で行...

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Tango Noir33

「俺とヒチョルは幼い時に親から捨てられて、一緒に育った。まあ兄弟みたいなもんだ。けど、あいつはあんな顔だからよくいじめられて、でも負けることがなかったかな。喧嘩は強くなかったから俺が代わりに戦った。俺が喧強くなっていったのはあいつのおかげもあるかも知んねーな。でも、10の時にあいつは一度高熱を出して、三途の川を渡りかけた。その時から、鬼神が見えるようになって、あいつは自分の将来をその力に捧げる、と言...

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Last Humanoids True Colors47

「その日」は急に訪れた。キュヒョンという便利屋の男を捕まえた。近所をうろうろしているところを警備員にみつかり、多少荒っぽく暴れたのだろう。みればあちこち、擦り傷を負っている。「お前は、誰だ?」濡れたタオルを渡しながら俺が尋ねると、キュヒョンはそれを受け取りながら笑って「俺はキュヒョン。チャンミンの友達だよ」と言った。友達、トモダチ....知り合いよりも一つ上の関係性か。なぜ、チャンミナの友達でいられる...

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Tango Noir32

運ばれてきた食事は温かく、僕はひたすら口に運んでいた。タッカルビをほおばりながら、僕は酒も頼んだ。ああ、胃袋に染み渡る。ユノもそんな僕を優しく見つめながらチキンを口にした。ユノの食べ方は、可愛い。こんな食べ方をしてよくあんなに動いて消費しきってしまわないんだな、といつも感心する。「エネルギー消費効率がいいんだよ(笑)」そういいながらご飯を口に運ぶとハムスターのように口をもぐもぐさせる。ああ、口が小...

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Tango Noir31

「ただいま」僕の部屋をノックしてユノが入ってきた。「ただいま」の一言になんだか顔が赤くなる。こんなにも甘くなるものなんだろうか。ふわっと抱きしめられた。逢えないでいた数時間をいとおしむように僕を抱きしめ、背中を摺る。なんだかこのまま溶けてしまいそうだ。「うん」とうなずいて僕はおずおずとがっしりとした背中に腕を回す。トクトクと少し早い鼓動をユノに預けるようにして、僕はユノのにおいを吸い込んだ。安心す...

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Tango Noir30

昼を過ぎるころには少し体も楽になって、ちょっとおなかもすいたなぁと思った頃に扉をこつこつとノックする音が聞こえた。「入るよー」と扉を開けて入ってきたのはヒチョルだった。「退屈してるだろうと思って、本を持ってきたよ。読んでみれば?」手に取った本は鬼神との戦いを示した記録だった。「この世の中を泰平の世に鬼神との戦いは必須。けれど、なにより大切なのは人の心。人心掌握ができなきゃ平和って訪れないよ。どんな...

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Tango Noir29

すぅ...と意識が戻ってきた。どのくらい気を失っていたんだろう。ユノの腕を枕にして、僕はしがみつくようにして眠っていたようだ。身じろぎするとユノが「気が付いたか」と言って腕をほどいた。ああ、まだそのままでいてほしいのに。起き上がろうとすると体のあちこちが痛い。「そのまんま寝てろ」そういうとユノは立ち上がって水をとってきた。僕はうなずいて椀をうけとり、飲み干した。身体にしみていく水分。ユノは飲み終わっ...