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MONOCHROME 18

「あいつ、大丈夫か。」形の良い指であごの下を撫でるようにして海を見つめたまま貴方は僕に問いかけた。「わからない。けど、心配だよな」彼女の心が軋んだ音が聞こえたような気がした。「入院代は僕が払うから毒親はしばらく来ないで済むと思う」赤い色が、消えていく。さっき見た、彼女を守るように飛び込んだ背中、抱きしめてカーテンを引いた指先。全部完璧だった。彼女を護るのは貴方だよね。話しておいた方がいいだろうな。...

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MONOCHROME 17

僕はかなり間抜けな顔をして貴方を見つめていたと思う。まあ、そりゃあそうでしょうね。貴方、超絶イケメンだもん。そのマスクで、その声でバーテンダーって反則だとおもうもん。酒だけじゃなくて貴方も酔わせるの、得意そうだよね。ホストやったほうが似合いそうだ。甘い言葉ささやくなんてお手のもんだろうし。女心だけじゃなくて僕の心まで掴んでるくらいだからね。僕なんかとカトクして楽しいとかおかしいでしょ。でも、楽しい...

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MONOCHROME 16

「あいつに何度も紹介しろっていったのになかなか紹介してくんねーんだもんな。」次々と投下される爆弾から僕は必死に心臓を守り、逃れようとする。「会ってみたらフツーの奴でがっかりしたろ?」どうか、声が震えませんように。一目ぼれしたなんてばれませんように。「ま、、俺の思ってたカンジと違ったな。」そりゃそうだよ。僕、平凡ななんのとりえもねー奴だから。「お前のさ、言葉がスゲー好きなんだと」え?言葉?まあ、確か...

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MONOCHROME 15

「海に来ると、つまんねーことはほんとちっぽけに思えるし、気持ちよくね?常識だとかしがらみだとか、そんなことに縛られてるの、つまんねーから。聞きたいことは聞けばいいし、言いたいことは言えばいい。やりたいことはヤるんだよ。」ココアを飲み干して砂浜に腰を落とし、綺麗な細い指で缶を弾きながら貴方は言った。聞きたい事....そんなに簡単なことじゃない。なんで、彼女は貴方を僕に紹介したの?なんで、貴方は僕に心を開...

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MONOCHROME 14

「さて、どっちでイクかな。」駐車場に置かれた僕の車と自分のバイクを見比べて貴方は首を傾げたが「ま、、コッチにすっか」と僕にヘルメットをかぶせ、自分のバイクに跨った。やっぱりバイク乗ってるんだ。この格好だもんな。手を引かれ「ほら、乗れよ」と促され、僕は言われるがままに後ろに乗った。すると貴方は僕の手を引っ張り自分の腰にしっかりまわさせ「お前、慣れてねーな?ちゃんとつかまってねぇと落っことすから」どこ...

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MONOCHROME 13

「さて、話を聞かせてもらおうか。」面会スペースの椅子にどかりと腰掛け、椅子を自分の前に引き寄せる。若干近すぎなその場所に「座れよ」と促されるまま僕はそこに腰かけた。「さてと....順番に聴くか。「赦してくれ」ってなんだ?俺はお前に赦しを乞われるようなこと、ねーと思ってるけど?」さらりと髪をかき上げ、すっと目を細めて貴方は僕を覗き込む。「だって、貴方、あいつに惚れてるって...」そこから先はうまく言葉にで...

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MONOCHROME 12

とりあえず、受付に行って入院の手続きをして、連絡先をきちんと書いて。書類を書きながら僕はさっきの光景を何度も反芻した。飛び込んできてナースコールを押した指。彼女を抱きかかえてカーテンを閉めた時の横顔。心がじくじくと痛かった。うつむいた僕を看護師さんが「お辛いでしょうけれど大丈夫。すぐに良くなりますよ」と慰めてくれた。そうじゃないんだ、そうじゃない...わかってたけど自分の心を認めるのが嫌だった。貴方...

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MONOCHROME 11

「そいつを追い出せ」低い声で僕に耳打ちをすると暴れる彼女を抱きしめ貴方はベットの脇のカーテンを引いた。僕はその女性の腕をつかんで廊下に連れ出した。ドアが閉まり、彼女の唸り声は小さくなった。目の前で起こったことすべてがとても現実離れしていて腕をつかまれて金切り声を挙げている女性の声すらも遠くに聞こえているような気がした。「なんなんだよアンタ、離しなさいよ、離せっての!!」金切り声を挙げられて、腕を振...

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MONOCHROME 10

「アンタなんて死んじまえばよかったんだよ!」病室から聞こえてきた声に凍り付く。彼女の見開いた瞳からポロポロと涙がこぼれていく。「おい、なんだそれ」病室に飛び込んでその声の主を見ると卑しい品性をさらけ出した、キツイ顔の年配の女が彼女をにらみつけていた。飛び込んだ僕の方に向き直ると「こいつはアタシが産んだんだから何言おうとアタシの自由だよ。けがなんかしたらちゃんと金を運んでこれないじゃないか。ベッド代...

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MONOCHROME 9

振り向くとレザージャケットに皮のパンツの貴方が居た。髪の毛は整髪料で固めておらず、さらりと前髪をながしている。「ナニがあったんだ?」僕を廊下にある椅子に座らせ、隣に長い足を組んで座りアーモンドアイをすっと細めて僕を覗き込むように貴方は尋ねた。僕は彼女に別れを告げたこと、彼女が事故に遭ったことを簡単に話した。「ま、、起きちまったことは起きちまったことだ。だけど、事故なんじゃね?とりあえず、会ってこい...