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仕立て屋の恋  81 (最終話)

僕は仕立て屋。紳士服のスーツをオーダーメイドで仕立てている、なんてことない平凡な仕立て屋。けれど、僕の作るスーツを着る人は幸せになって欲しい。どんな人でも。あれからシウォンさんだが、秘書の人がスーツを取りに来た。3着渡すとスーツを眺めて、「そりゃ気にいるわけだな」とひとりごちていた。色のチョイスやスタイルも良かったらしい。3着分にはかなり多い金額を置いていかれたので、お返ししようとしたら「この金額で...

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仕立て屋の恋 80

シウォンさんが帰った後。ユノに「この箱の中身って何?」って聞かれたので、僕はそれを出してみせた。「ふーん」と眺めてるユノ。「俺にはこういう感覚、無かったな」と何となく面白くなさそう。「そういうところに気がつかない自分の頭にちょっとだけムカついてるかな。」ユノのその言葉に僕は思わず抱きしめた。「僕は逆にユノが僕の仕事をリスペクトしてる証拠だと想ってましたが?思い出を大切にしてくれて、約束を守ってくれ...

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仕立て屋の恋 79

幼い時に僕がスーツを作ると約束した事。おじいさんの思い出も一緒に取っておいてくれたユノ。 優しくてまっすぐで繊細で。 こんなに真っ直ぐ想ってくれる人を僕は知らない。「僕は....確かに着る人を幸せにするスーツが作りたいです。だからユノに着てもらいたいと思ったのと同じように、というか全ての人に大事に着て欲しいと思ってスーツを作っています。シウォンさんの無理やりな注文にもお答えするつもりで頑張りました。...

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仕立て屋の恋 78

「もう、いいよ。僕は言いたいことを言ったから。」「俺が収まらない。チャンミナにこんなことして。」僕らの言い合いを聞いてたシウォンさんが起き上がり、苦笑した。「ほんとにお前らそういう関係だったんだな。ハンナに泣きつかれたときはまさかっておもったけど。」え、ハンナさんが?まあ、みんな知り合いだよね。よく考えたら世界は結構狭い。「けど、会ってわかったよ。手に入れたくなる気持ち。お前のでもお前のじゃなくて...

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仕立て屋の恋 77

「他人にリスペクトのない人は嫌いです。」自分の声が我ながら冷たく聞こえる。「あの人のことを悪く言う人は僕が許さない」その言葉を聞いて、逆上したのだろう。シウォンさんに足払いをかけられ、僕は机の角に腕をぶつけて転んだ。まあ、喧嘩が強いわけでもなんでもない僕がここまでできたのだってひとえにユノへの想い。隙だらけで脇も甘い自分をこの時ほど呪ったことはなかった。シウォンさんは僕の上に馬乗りになり僕を床に縫...